『パワー・オフ』

「どうだった? 新潟のハッカー騒ぎは」
「くだらないんだ。会社の広報誌にパスワードを載せちゃった奴がいてね」

<あらすじ>
高校の実習の授業中、コンピュータ制御されたドリルの刃が生徒の掌を貫いた。
モニター画面には、「おきのどくさま…」というメッセージが表示されていた。
次々と事件を起こすこの新型ウィルスをめぐって、プログラマ、人工生命研究者、パソコン通信の事務局スタッフなど、さまざまな人びとが動き始める。進化する人工生命をめぐる「今」を描く。
(amazon商品説明より)

インターネットが一般家庭に広まり、スマートフォンなども含めれば一人複数台のネットワーク端末を所有するようになって久しいですが、本書が発表されたのは今より15年以上も過去の事。
その時代といえばインターネットに接続すると電話が使えなくなる様な環境であり、タッチおじさんバザールでござーるが闊歩していた頃でもあります。

井上夢人氏(岡嶋二人氏)の作品は少なからずSF要素を含んだ作風が特徴的です。
作中人物はコンピュータウィルスの目的は嫌がらせや愉快犯として語っていますが、実際には直接な金銭目的としてウィルスがばらまかれています。
現代では方法こそ違いますが金銭目的でコンピュータウィルスをばら撒くという事が実際に行われているため、極近未来SFとして見られるかもしれません。

冒頭に挙げた科白は本書の書かれた頃のセキュリティ意識の低さを端的に表していますが、インターネットやハッキングといった言葉が一般的になって尚、ディスプレイにIDやパスワードを張り付けているということはありがちな話です。
そこまで極端な例でなくとも、何処で機密情報が漏れるか分からない現代、十分に気を付けたいところです。

書名:パワー・オフ
著者:井上夢人
出版:集英社(単行本:1996.7、文庫:1999.7)

パワー・オフ (集英社文庫)
集英社
井上 夢人


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あらすじとか帯で割とネタバレ。

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